彼に憑く部屋

 彼と初めて会ったのはその部屋の近くのスーパーでした。

 適当な飲み物を買い、彼のマンションのオートロックを彼が解除して、ドアが開いた時、急な寒気が私を襲いました。
 その一部屋からすごく寒気が飛んでる。 そう感じました。
 出来ればその部屋じゃないことを祈りながら彼に案内され、彼の部屋の扉を開けた瞬間に襲ってきた鳥肌と寒気。
 私は帰りたいと言いました。
 様々な方向から刺す視線。 見られてる。
 でも、彼も霊感が強いのか、「何もしてこないから大丈夫だよ」 と言ってきました。
「お邪魔します」
 そうつぶやき、彼の家にお邪魔して、夜中まで話をして、疲れたせいか寝てしまってました。
 どくん!! 心臓が飛び跳ねて起きました。
 携帯を見ると午前2時。 丑三つ時か、やだな。 と思っていたら、横になってる真上の壁紙が、 ガリガリ、ドン!ドン! なにか模様替えをしているようでした。
 隣を見たら彼も起きていて、「うるさいよね。いつもなんだよね」 と言ってました。

 その後彼とお付き合いする事になり、何度か部屋に呼ばれたのですが、やはり寒気、鳥肌、物音。
 引越しを考えたら?と彼に提案すると、彼も頷いており、物件を見ることにしました。
 不動産に行って物件を内見してるとき、彼は突然帰りました。
 なんで帰ったのか聞くと「引っ越したくない」そう言うのです。
 またある日、「引越したい」と言うので、色んな物件を見ていたら、はじめは楽しそうに見てる彼が何故かやはり「引越したくない」と言うのです。
 ある日彼がうちに泊まりに来た時、起こされる前です。
 夢を見ていました。
 私が彼の家に行き、彼の部屋が意思があるように彼の事を包んで離さない。
 ゾッとして飛び起きました。
 夢だった。と安心していると、また彼は「帰る」と言いました。
 家に帰したらだめだと。 そう思った私は家に帰してません。
 あれから半年経ちますが、未だにあの部屋は彼を呼び、私が寝てる時などに家に帰って、私が迎えに行く。
 解約してくれないので、それしか救う道がないのです。
 ずっと彼は部屋に憑かれてます。

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