オチなし事故物件

2年ほど前から、都内の事故物件に住んでいます。

先に言っておくと、この話には特にオチがありません。

なんとなく誰かに話したくなったので投稿します。

私が住んでいる部屋は、東京都内のマンションで なるべく安い場所はないかと不動産屋に交渉して出てきた物件です。

敷金礼金ゼロ、設備も充実した新築マンション。

しかし契約書の備考欄には、「瑕疵物件」「事故がありました」と書かれていました。

不動産屋の話によると、以前その土地にはアパートが建っていたのですが そこで自殺があったことで人が寄り付かなくなったため 取り壊してマンションを建てたのだそうです。

なので、どの部屋で人が死んだということはなく 人が住んで何も起きなければ、

その後普通の値段に戻す計画なのだと言っていました。

2年以上経った今、一切まったく何も起きていません。

私に霊感がないからかもしれませんが 自宅に呼んだ友人たちも、見たり感じたりすることはありませんでした。

私の住んでいる事故物件の話は、ここで終わり。

あとは独りごとのようなものを少し。

小野不由美の小説『残穢』にもありましたが

その土地の死や怨念といった「穢れ」は、どれだけの期間、残るものなのか。

私たちが普段生活している場所には 事故や戦争で誰かが死んだ場所のほうが多いのではないか。

たとえ人が死んだとしても、老衰や病気の場合もある。

自殺だったとしても、現世に影響を及ぼすような 強い恨みを持って死ぬ人のほうがどれだけいるのか。

むしろ鬱々と絶望して死んでいった人たちが、現世の人間に何かするようなガッツがあるのか。

部屋で過ごしていると、ときどきそんなことを考えます。

私はホラーものが好きですが、霊を見たことはありません。

霊を見たいとは思いませんが、霊を否定するつもりもありません。

もちろん、このマンションに何かが出てきてほしいとも思いません。

見えなくても、何かが起きなくても すぐ隣にあるものだと思うぐらいが、ちょうど良い気がします。

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