子どもは悪くない

母の友人に、生まれつき霊感の強い女性がいます。

霊が見えるわけではないようですが イヤな気を感じる場所は、「入りたくない」と言って避けます。

そんな彼女が避ける場所のひとつが、私の親戚の家です。

土地にあった負のオーラのようなものが 家が建ったことで閉じ込められている……というのが、その理由だとか。

人づてに調べてみると、その土地は戦前は墓地で 戦後は暴力団の事務所が建っていたのだそうです。

抗争か何かで組は解体となり、事務所も取り壊し。

しばらくして安く売り出されたその土地を、親戚が購入して家を建てたようです。

離婚、離職、借金、事故死…… 他にも言うに憚られるようなことが、

その親戚の家では続いたので 彼女が言っていた「負のオーラ」については、私もすぐに得心がいきました。

しかし、いくつか気になることがありました。

まず子どもの頃の私が、そんな気配をまったく感じず よく泊りがけで遊びにいっていたこと。

しかし当時は霊体験も特になく、事故も怪我もありませんでした。

そして今現在、近所の子どもたちが遊びにきていること。

窓が裏の住宅地に面しており、そこから小学生たちが入ってくるのです。

その親戚の家は、今も昔も、子どもの気配が絶えません。

そのことを、霊感の強いその女性に訪ねてみました。

彼女曰く……

「悪いものも、子どもには優しくなれるの。  

世間で煙たがられる人に、子どもは警戒せずについていくでしょう?  

だから子どもが無邪気なうちは悪さをしないし、可愛いがって、守ってくれるのよ」

言われて考えてみると、私も大人になるにつれて その親戚の家から足が遠のいていました。

たびたび起こるいざこざに巻き込まれたくない。

子どもの頃は考えなかった、そんな感覚が今はあるから……。

霊も、それを見抜くのでしょうか。

悪いものは、悪いと認識されたときに悪くなる。

無邪気な子どもは、むしろ可愛がって守ろうとする……。

最近、親戚の家に孫が生まれました。

家庭の問題は相変わらず続いていますが その赤ん坊は、よく笑います。

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