その事には、中学の頃、体育の時間に気がついた。
リレーの順番待ちをしていたら、フウカの頭の上に25という数字が浮かんでいた。
なんだろうと思っていたらマリの頭の上の数字も25だった。
リレーの最中、フウカからバトンを受け取った途端、マリの頭の上の数字が20になった。
その直後、マリが転んだ。
昼休み、レンが階段を駆け降りようとした。
頭の上の数字は27だったのが、いきなり1になった。
あっ、と思った直後、レンは階段から転げ落ちた。
階段の下でうずくまるレンの数字は、黄色くなって点滅していた。
私は(つまりこれは、残りのヒットポイントなんだ)と思った。
この数字が0になったら…
そこまで考えて私は背筋が寒くなった。
それ以来ずっと数字が気になって、つい頭の上をチェックするようになった。
下校途中、私は同級生や友達の頭の上を見た。
みんな20以上ある。
大丈夫だ。
一安心して振り返ったところに、ショーウィンドウがあった。
そこに映る私の頭の上の数字が、赤く点滅する0に変わる。
私の後ろには、ショーウィンドウに突っ込んでくる赤い自動車が………