私の従弟のタクミは、私の2歳下で小さい頃から仲が良く、
私に負けず劣らずの恐怖体験をしてきました。
そんな彼が小学生の頃に体験した話です。
図書館の隣にある使われていない教室。
そこは普段、生徒は立ち入り禁止。
ある日、タクミは担任の先生からこう頼まれた。
「あそこの教室の中にあるイスを一つ持って来てくれないか。
その時に必ず向かって右側のドアから入って左のドアから廊下に出ること」
変な決まりだなと思った。
そこでタクミは友人のダイチと一緒にその廊下に入ることにした。
「右から入っても左から入っても一緒だろ」
と笑い合った。
ただ彼らは逆から入るのではつまらないと思ったらしく、
ダイチは右から、タクミが左の入り口から同時に中に入ることにした。
二人は息を合わせて同時に中に入った。
「なんだ。何も起きないじゃん」
とダイチは笑ったが、左から入ったタクミは笑わなかった。
タクミは頬から血を流して震えていたらしい。
「……ドアを開けたら、黒い男が鎌を持って飛び出してきた……」
タクミはとっさにその鎌を避けたが、頬には赤い切り傷ができてしまったという。
「『また来年、二人でここに来い』って…」
男はすれ違いざまにそう言ったのだという。