小学生の頃、教室の後ろの壁には夏休みに描いたポスターが貼られていた。
ある日、先生がそれを剥がしていた。
久しぶりに見る壁がやけに白く感じたのを覚えている。
「あれ…?」
見ると、そこに小さな穴が開いていた。
人差し指が入るくらいの穴だった。
しかも厚い壁の向こうまで続いているみたいで、穴の向こう側が明るい。
でも、隣は使われていない教室で、入り口には鍵がかかっていたはず。
じっと穴を覗いていると、向こう側で何かが動いて穴を塞いでしまった。
指を入れてみようかとも思ったが、怖い。
そこで鉛筆を差し込んでみることにした。
シュッとおかしな音がした。
鉛筆を穴から引き出すと、刃物で切り落とされたみたいに、長さが半分になっていた。