螺旋階段

丁度今年から13年前、私が小学4年生の時に体験したとても恐ろしい夢の中の出来事です。

外は熱気がアスファルトを焦がし、セミの鳴き声がうるさいほどに響く真夏の季節でした。当時の私は、汗だくで学校から家に帰ると従兄弟から借りたスーパーファミコンを引っ張りだして、夕方までゲームに明け暮れていました。

小学生の頃の私はスポーツ万能で成績優秀というわけでもなく、どちらかと言うと成績もさほど良くなく、毎日ゲームに熱中するいわゆるゲーマーでした。

そんな私はいつも通り学校から家に帰ると、スーパーファミコンの電源を入れて数年前に流行った「FF6」をプレイしていました。

時間が経つのも忘れて何時間もプレイした私は、長時間遊んでいるだけあって目が疲れてウトウトしてきました。コントローラーを握ったまま眠りそうだったんだけど、せっかく進めたゲームをセーブだけしなくてはと思い、セーブした後、思いっきりベッドで爆睡しました。

疲れ果てて私の意識が消えていく中で、徐々に夢の中へ意識が持っていかれました。意識が夢の中へと完全に溶け込むと、私は自宅の2階の廊下に立っていました。なんら変わらないいつもの自分の家なのですが、

2つおかしな点がありました。それは本来自分の家は2階までしか無いのですが、ふと上を見上げると存在するはずのない3階へ続く螺旋階段があったのです。そして、夢であるはずなのに意識がはっきりとしており自由に身体を動かすことができました。

こんなおかしな夢を週3のペースでみていた私は、「なんだ。またこの夢か」みたいに思っていました。いつもは3階へ続く螺旋階段をボーっとみて夢が終わるのですがこの日は違いました。

当時の私はゲーム以外に関心が無く、螺旋階段のことは全く無視していたのですが、突如としてその螺旋階段が「夢でしか現れない謎の階段」という印象が強くなり、次第に上がってみたいという好奇心に溢れていました。

私は自分の好奇心が抑えられなくなり、3階へ続く螺旋階段の手すりに手をかけゆっくりと階段をトタトタと上がっていきました。

階段を登りきり恐る恐る辺りを見渡すと、広い場所に出たかと思ったら自分の家とは雰囲気が全く違う部屋でした。

天井と壁の所々には異常な数の窓があり、部屋の中央にはポツンと一台のグランドピアノがあったのです。所々にキズやホコリがあるそのピアノはかなりの年代ものという印象でした。

古めかしいピアノを眺めていると「それ」はピアノのすぐ隣に立っていました。

血だらけの白いワンピースらしきものを着たボサボサ髪の女が立っていたのです。肌色は鼠色に変色しており、腕と手は細く人間のものとは到底思えませんでした。

この時の私は心臓が破裂しそうなほど緊張して身体が硬直してしまいました。

そして何よりも恐ろしかったのがその女の顔は、目や口が黒糸で縫われており、開けることができない目で私の方を凝視していたのです。

私は一目散に階段まで駆け手すりに手をかけた瞬間に目が覚めました。目を覚ました私の身体はグッショリと汗をかいていました。

後日談としては何もありませんが、これを機に螺旋階段の夢は見なくなりました。

3階に居た血だらけの女やピアノなど色々な謎な残るのですが正直もう考えたくないです。

朗読: ごまだんごの怪奇なチャンネル

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