蛇の仕返し

私が幼稚園の時の話です。

朝、幼稚園に行く時は母に送ってもらい、帰りは先生の後に付いて、2列に並んで集団で帰ります。

途中で、一人、また一人と列から外され、家の中に入って行きます。
次は私の番で、先生に「さようなら」をして列から外れました。
私の家は路地の2件目で、みんなとは表の道路でお別れです。
家の門の前まで行くと、そこに小さいですが、とぐろを巻いた蛇がいました。

私はびっくりして、しばらく固まっていたと思います。

私がなかなか家に入ってこないので、たまたま休みで家にいた父が、様子を見に出てきました。
父はすぐに気付いて、
「少し離れて待ってなさい。」
と言い、奥に入って行くと、すぐにトングを持って出てきました。
そして蛇を掴むと、私の前を通り、そのまま表の通りに出て行きました。

私は急いで父の後を追い掛けました。
父は通りを渡ると、通りに平行して流れていた堀に蛇を投げ捨てました。
今思えば、当時我が家の庭は、ジャングルのように木々が生い茂り、池もあったので、

あの蛇は、うちの庭からたまたま出てきたのかもしれません。

しかし、子供だった私には、怖かったという思いの方が強かったと思います。

その翌日からです。
幼稚園から帰ると、家の門の前で、必ず足が何かにからまった感じですてんっと転び、膝を擦りむきました。
お出掛けした後も、門の前まで来ると、また足がからまってすてんっと転びました。

私の膝は血だらけで、毎日大泣きでした。
何かを悟った母が、私が帰る時間になると、門の前に塩をまくようになり、転ばなくなりました。

今考えると、蛇の祟りというほどではありませんが、

「仕返し」だったのではないかと思います。

朗読: 怪談朗読と午前二時

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