裏路地の花嫁
二十代半ば頃の話。 友人と飲みに行く約束をして、夕刻に待ち合わせの飲み屋前で待っていた。 この界隈は幾つもの大きな飲み屋街の通りが交差して、更にメインの通りから枝のように横道が伸び、そこ…
二十代半ば頃の話。 友人と飲みに行く約束をして、夕刻に待ち合わせの飲み屋前で待っていた。 この界隈は幾つもの大きな飲み屋街の通りが交差して、更にメインの通りから枝のように横道が伸び、そこ…
兎に角、忙しい業界だった。 妻子を置いて単身上京し、開発業務に携わった。 土日は遅れを取り戻すマージンとして存在し、月の半分が徹夜作業なんてのもあった。 ノルマンディー上陸作戦の如く、…
小学校三~四年の頃だったと思う。 地域の夏祭りの夜、一年生から六年生ぐらいまでの十人程の男子だけで構成された一行で会場をブラブラしながら、自治会が出店している露店でクジを引いたり、フランク…
高校二年の頃だったか。 その日、友人と遅くまで遊んで、帰りは深夜近くだった。 帰り道、真っ直ぐな細い道を自転車で走っていた。 道沿い左側には5m程の深さの堤防があり、堤防下には岸に雑草…
昨年、冬の朝、駅のホームで電車を待っていた。 ラッシュアワーを外しているので、一両目の三番扉前の立ち位置には自分しかいない。 ホームから正面に見える、葉が落ちた木立の間に朝日がチラチラと…
私が小学二年生になるタイミングで引っ越すことになった。 五階建ての小さく古い団地に住んでいたが、弟も産まれ、四人家族には手狭になったので、父が郊外に一戸建てを買ったのだ。 春休み中に引っ…
二十代の頃、僕は太陽の下で汗水流す、そんな仕事をしていた。 その職場にいた、日焼けなのか肝臓が悪いのか、土気色の肌の40代独身の先輩Tさんに、初めてスナックという類いの店に連れて行ってもら…
中学2年生、秋頃の話。 その当時は、テレビよりも深夜ラジオの方に面白みを感じていて、毎夜ベッドに寝転がりながら、イヤホンなどは着けずに、親に怒鳴り込まれない程度にボリュームを絞ってひっそり…
我が家では、いつの頃からか土日の夕飯の買い出しは夫の役割というルールがあって、夏真っ盛りな土曜日のその日も、夕刻からママチャリを漕いで数キロ先のスーパーに出掛けた。 買い物を終え、少し肌寒…
月曜の朝、腹痛と共に目を覚ます。 トイレで唸りながら、治まり次第出勤しますと会社に連絡を入れ、9時過ぎにようやく快復の兆しが見えてきたので、いつもより2時間半遅れで家を出た。 まだ若干痛…
とにかく満員電車が嫌いなので、通勤の際はラッシュが酷くなる時間帯よりかなり早い時間且つ各駅停車の電車に乗っていた。 少々電車が遅延しても会社に一番乗りで出社できる程早い電車なので、車内はガ…
※この話は、以前投稿しました『むっしょい』の後日談ですので、そちらを読んでいただいてから、こちらを読まれることを推奨いたします。 おじいさんに『むっしょい』の話を聞いた後、集会所から家に戻る…