龍を握る
昨年、冬の朝、駅のホームで電車を待っていた。 ラッシュアワーを外しているので、一両目の三番扉前の立ち位置には自分しかいない。 ホームから正面に見える、葉が落ちた木立の間に朝日がチラチラと…
昨年、冬の朝、駅のホームで電車を待っていた。 ラッシュアワーを外しているので、一両目の三番扉前の立ち位置には自分しかいない。 ホームから正面に見える、葉が落ちた木立の間に朝日がチラチラと…
私が小学二年生になるタイミングで引っ越すことになった。 五階建ての小さく古い団地に住んでいたが、弟も産まれ、四人家族には手狭になったので、父が郊外に一戸建てを買ったのだ。 春休み中に引っ…
二十代の頃、僕は太陽の下で汗水流す、そんな仕事をしていた。 その職場にいた、日焼けなのか肝臓が悪いのか、土気色の肌の40代独身の先輩Tさんに、初めてスナックという類いの店に連れて行ってもら…
中学2年生、秋頃の話。 その当時は、テレビよりも深夜ラジオの方に面白みを感じていて、毎夜ベッドに寝転がりながら、イヤホンなどは着けずに、親に怒鳴り込まれない程度にボリュームを絞ってひっそり…
我が家では、いつの頃からか土日の夕飯の買い出しは夫の役割というルールがあって、夏真っ盛りな土曜日のその日も、夕刻からママチャリを漕いで数キロ先のスーパーに出掛けた。 買い物を終え、少し肌寒…
月曜の朝、腹痛と共に目を覚ます。 トイレで唸りながら、治まり次第出勤しますと会社に連絡を入れ、9時過ぎにようやく快復の兆しが見えてきたので、いつもより2時間半遅れで家を出た。 まだ若干痛…
とにかく満員電車が嫌いなので、通勤の際はラッシュが酷くなる時間帯よりかなり早い時間且つ各駅停車の電車に乗っていた。 少々電車が遅延しても会社に一番乗りで出社できる程早い電車なので、車内はガ…
※この話は、以前投稿しました『むっしょい』の後日談ですので、そちらを読んでいただいてから、こちらを読まれることを推奨いたします。 おじいさんに『むっしょい』の話を聞いた後、集会所から家に戻る…
6年生の夏休み、お盆の頃の話。 もうあと僅かばかりの命を嘆く様に朝から蝉が鳴き叫び、扇風機が結びつけられたリボンをヒラヒラさせながら生ぬるい風を送り付けてくるので、 学習ドリルに一文字も書…
小学校6年生の時の話。 当時、私が住んでいた付近は田んぼと畑だらけの地域だったが、 急速に宅地開発が進んだ結果、小学校の児童数が急激に増え、 運動場の隅にプレハブ教室を建てるも間…
小学校高学年の夏休み、九州のとある県に住む伯父さんのところに遊びに行った時の話。 毎日、色んなところに連れて行ってもらったり、地元の美味しいものをたらふくごちそうになったり、夜には花火をし…
小学3、4年生頃の冬の話。 家族で母方の伯母の家に遊びに行き、晩御飯をよばれた後、そろそろ帰ろうかとなった。が、ちょうどその時間、観たいテレビが始まろうとしていた。 今帰ると、家に着くころ…